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NetflixのWBCチャイニーズタイペイ呼称が中国への忖度と言われる理由

台湾と日本の国旗
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WBC2026の日本対チャイニーズ・タイペイ戦を見ていて、なんだかムズムズした方はいませんか。

画面には「チャイニーズ・タイペイ」という文字が並び、実況でも解説でもその名称が繰り返される。

でも私たちの頭の中には、ずっと「台湾」という言葉が浮かんでいるんですよね。

3月6日の試合では、侍ジャパンが13対0の7回コールドという圧勝を収めましたが、それでも画面の「チャイニーズ・タイペイ」表記は一切変わりませんでした。

勝利の興奮の裏で、このズレがじわじわと気になった方も多かったのではないでしょうか。

SNSやヤフーニュースのコメント欄には「気持ち悪い」「なんで台湾って呼ばないの」という声が次々と並んでいて、それが小さな怒りや悲しみや戸惑いを帯びているのが印象的でした。

この記事では、なぜNetflixが「台湾」と呼ばないのか、その裏に何があるのかを、できるだけわかりやすく整理してみたいと思います。

スポーツ観戦の話のようで、実は国際社会のルールや、中国という巨大な存在の影が見え隠れする——そんな話です。

ちょっと難しそうに聞こえるかもしれませんが、できるだけかみ砕いて説明しますので、気軽に読んでみてください。

NetflixのWBC2026で台湾と呼ばない違和感

試合を見ながら、解説者が「台湾…いや、チャイニーズ・タイペイ」と言い直す瞬間、気づいた方も多いのではないでしょうか。

言いかけて、途中で止めて、長い名称に修正する。

あの一瞬の「間」に、なんとも言えない痛々しさがありました。

「台湾って言いたいのに、言えないんだな」と、見ているこちらまで息を詰めてしまうような感覚です。

日本で「台湾」という言葉が持つ重みは、単なる地名のそれとは少し違います。

2011年の東日本大震災のとき、世界で最も早く支援の手を差し伸べてくれた地域の一つが台湾でした。

義援金の総額は約200億円規模(200億円超とも)と言われており、被災地には「台湾ありがとう」という横断幕が掲げられました。

台湾産のパイナップルやマンゴーを買って恩返しをしようという運動が自然発生的に広がったのも、記憶に新しいところですよね。

あのときの「台湾」は、遠い異国の地名ではなく、手を差し伸べてくれた友人の名前でした。

だから、画面に「チャイニーズ・タイペイ」と表示されるたびに、心がざわつくのでしょう。

「チャイニーズ・タイペイ」という名称は、直訳すれば「中国の台北」に近いニュアンスを持ちます。

台湾の人々が誇りを持って「私たちは台湾だ」と言っているのに、国際スポーツの場ではその呼び名が認められない。

応援したい気持ちと、画面に映る名称のギャップが、じわじわと違和感に変わっていく感覚を、多くの方が共有しているのだと思います。

東京ドームの外では、台湾から駆けつけたファンが「Team Taiwan」「Go Taiwan」と書かれた横断幕を掲げ、声を上げていました。

選手たちが誇りを持って「台湾」と名乗っているその横で、Netflixの配信画面には「チャイニーズ・タイペイ」の文字が淡々と表示される。

この光景、なんとも言えない矛盾を感じませんか。

2024年のプレミア12で台湾が優勝したとき、日本のメディアは「台湾代表」と報じ、SNSには「台湾がんばれ」がトレンド入りしました。

日常会話でも、ニュースでも、みんな普通に「台湾」と呼んでいる。

なのに、こういう大きな舞台になると急に「チャイニーズ・タイペイ」に変わる——「なんで今だけ?」という疑問が湧いてくるのは、むしろ当然のことでしょう。

さらに今大会、Netflix独占配信ということもあって、従来の地上波無料視聴ができなくなり、CMも入るスタイルに戸惑う声も出ています。

「試合が見づらくなった上に、呼び方まで変えられた」という二重のモヤモヤを抱えている方も、少なくないのかもしれません。

Netflixが台湾をチャイニーズタイペイと呼ぶ理由

「じゃあ、Netflixが悪いの?」と思いたくなる気持ちはわかります。

でも実際には、Netflixだけの問題ではなく、国際スポーツのルールそのものに深い根っこがある話なのです。

ここを理解すると、モヤモヤの輪郭がずいぶんはっきりしてきます。

少し歴史の話も出てきますが、できるだけわかりやすく説明しますので、もう少しだけお付き合いください。

①IOCとWBSCが定める「公式名称」の強制力

「チャイニーズ・タイペイ」という名称の起源は、1979年にさかのぼります。

IOC(国際オリンピック委員会)が「名古屋決議」と呼ばれる取り決めを行い、台湾(中華民国)は「Chinese Taipei Olympic Committee(中華台北オリンピック委員会)」として登録されることになりました。

ちょっと難しい話ですが、要は「中国と台湾、両方がオリンピックに参加できるように、台湾側が名称・旗・国歌を変えることで手打ちにした」という経緯です。

中国(中華人民共和国)は「中国は一つ」という原則を主張して、台湾をそのまま「台湾」として認めることを拒否しました。

双方が同じ舞台に立てるよう、台湾側が大幅に譲歩する形で妥協が成立したわけです。

その後1981年の「洛桑協議」で正式に確定し、以来オリンピック・アジア大会・WBCなどIOCやWBSC(世界野球ソフトボール連盟)系の大会では、「Chinese Taipei」という名称が強制的に適用されています。

違反すれば出場資格停止というペナルティもあるため、大会に参加している限り、誰もこのルールから逃げられません。

WBCはWBSC主催の大会で、台湾野球協会は「Chinese Taipei Baseball Association」として登録されています。

ユニフォーム・スコアボード・公式発表、すべてが「Chinese Taipei」です。

Netflixは日本国内での全47試合の独占配信権を持っていますが、大会の公式映像をそのまま使う以上、名称を独自に変えることは契約上できません。

実況・解説であっても、大会契約の縛りの中では公式名称の使用が求められる——というのが実情です。

2018年には台湾国内で「大会名称を『台湾』に変更しよう」という国民投票が行われましたが、IOCが「協定違反になる」と警告を出し、結果的に否決されました。

変えたくても変えられない、という構造が40年以上にわたって続いているのです。

これを知ると、「Netflixが意地悪をしているわけではない」ということはわかります。

でも、だからといってモヤモヤが消えるかといえば……そうでもないのが正直なところですよね。

②韓国はOKで日本はNG?放送局と配信サイトの差

「じゃあ韓国はなんで台湾って呼べるの?」という疑問、これは非常に鋭いポイントです。

実は、放送形態の違いが大きく関係しています。

韓国の国内放送(例:SPOTVなど)では、実況や試合ページで「台湾」という表現が使われるケースがあります。

台湾の国内放送(ELTAなど)でも「台湾」という呼称を使う自由度が高く、現地では「チャイニーズ・タイペイ」と呼ばれることに複雑な感情を持つ方も少なくありません。

こういった放送局が「台湾」と呼べるのは、国内向けに独自の中継制作を行っており、中国からの直接的な圧力が及びにくい環境にあるからです。

一方、Netflixはアメリカに本社を置くグローバル企業です。

全世界190か国以上でサービスを展開しており、「一国の視聴者感情」よりも「グローバルな契約と整合性」を優先せざるを得ない立場にあります。

日本向けの独占配信とはいえ、大会の公式コンテンツに依存する形で配信している以上、独自の呼称変更はできないわけです。

かつての地上波放送では、テレビ局が独自に制作した中継の中で「台湾」と呼ぶことが事実上黙認されていた部分もありました。

しかし、グローバルプラットフォームが配信の主役になると、そういった「国内の空気を読んだ融通」が一切効かなくなる——これが今回の問題の本質の一つではないでしょうか。

「地上波なら台湾と呼べたのに、Netflixだと呼べない」という構造的な後退が、ここに起きているわけです。

③中国市場への配慮とグローバル企業の忖度体質

もう一段掘り下げると、中国という存在の影が見えてきます。

Netflixは現在、中国本土ではサービスを展開していません。

しかし、アジア市場の拡大を進める中で、中国との関係を悪化させることは避けたい——という姿勢があると考えられます。

過去には中国に関連する地図の表記を修正したり、コンテンツ内容を調整したりした事例も報告されており、「一つの中国」原則には敏感に対応する体質があると見られています。

WBC配信の中で「台湾」という言葉を使えば、中国政府やネット世論から激しい批判を受けるリスクがある。

それを回避するために公式名称を厳守する——という判断は、ビジネスとしては「合理的」なのかもしれません。

でも、日本の視聴者からすれば「金のために事実を曲げている」と映るのも、無理のない話ですよね。

これはNetflixだけの話でもありません。

NBA(2019年の香港問題でコーチのツイートが中国市場との大問題に発展)、Apple(台湾を中国の一部として地図に表示した問題)、複数の航空会社(台湾を「中国の省」として表記した問題)——グローバル企業が中国市場を意識して「事なかれ主義」を取るケースは、枚挙にいとまがありません。

Netflixもその例外ではなく、世界規模で中国の影響力が及ぶ現実の、ほんの一断面が今回のWBC配信に出ているのだと思います。

「悪者はNetflixだ」と怒りをぶつけたくなる気持ちはわかりますが、構造そのものが問題なのだと理解すると、怒りの向け先が少しぼんやりしてきませんか。

それがまた、モヤモヤをさらに深くする一因でもあるのかもしれません。

WBC2026の台湾表記に潜む日本人のモヤモヤ

ここまでの話を整理すると、「チャイニーズ・タイペイ」問題はIOCのルールが起点で、Netflixは契約上従うしかなく、中国への配慮もある——という構造が見えてきました。

「悪者がいる」というより、誰も変えられない歯車が回っているという状況に近いかもしれません。

だからこそ、余計にモヤモヤするのでしょう。

WBC2026の台湾表記に潜む日本人のモヤモヤ

日本のSNSやヤフーコメント欄に溢れる感情を言葉にすると、こんな感じになるでしょうか。

「震災のとき助けてくれた台湾を、なんで中国の一部みたいな名前で呼ばなきゃいけないの。台湾の人に失礼じゃないか」——この感情は、単なる「名前の好み」の話ではありません。

東日本大震災での支援がどれだけ心に刻まれているか、という話でもありますよね。

台湾の選手たちは「Team Taiwan」と書かれたグッズを手にして誇りを持っている。

台湾のファンは「私たちは台湾だ」と声を上げている。

なのに国際スポーツの公式映像の中だけ、「チャイニーズ・タイペイ」という名称に押し込められている。

その理不尽さを、日本から見ている私たちも、なんとなく一緒に受け取ってしまう感覚があります。

さらに、この問題が解決できない構造そのものへの無力感も、じんわりと広がっています。

Netflixに文句を言っても「公式ルール通りです」という返答が来るだけ。

WBCIやWBSCに訴えても、中国の拒否権がある以上、名称変更は事実上不可能。

「誰に言えばいいの?」「誰も変える気がないんじゃないの?」という諦めが、怒りとセットでやってくる感じ、なんとなく伝わりますよね。

かつて東京五輪(2020年開催)の中継では、日本のメディアが「台湾」という表現を使えていた場面もありました。

それが今回のWBCでは後退している、という感覚を持つ人もいて、「ジリジリと悪い方向に向かっていないか」という不安も見え隠れします。

この話が多くの日本人の胸に刺さるのは、「台湾という名前」の問題だけでなく、「日本が本音を言えない状況を黙認し続けている」という感覚と重なるからではないでしょうか。

中国の顔色を見ながら言葉を選んで、国際ルールの名のもとに理不尽を受け入れる。

「そういうもんだから仕方ない」で流すには、震災支援の記憶が、少し鮮明すぎる気がします。

とはいえ、私たちにできることは何か、と考えると、正直なところ難しい問いです。

個人としてできることは限られていて、「台湾という呼び方を日常で大切にする」くらいのことしか、今すぐにはないかもしれません。

でも、こういった構造を「知っている」か「知らない」かは、じわじわと積み重なっていくものだと思っています。

WBCの試合そのものは純粋に楽しんでいい。

侍ジャパンを応援しながら、相手チームへのリスペクトも忘れずにいたい。

でも、画面に映る「チャイニーズ・タイペイ」の文字を見るたびに、この記事で触れた背景が少しだけ頭をよぎってくれたら——それだけで、書いてよかったと感じています。

「台湾は台湾でいいじゃん。誰も傷つかないのに」という声が、いつか届く日が来ることを心のどこかで願っています。

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