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【Thai】ワコールが下着丸出し広告で炎上!タイ人から大批判を受けた理由

タイワコールの炎上
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

「え、これワコールの広告なの……?」

2026年3月、タイのSNSでそんな声とともに拡散された一枚の写真が大炎上の火種になりました。

白い学校制服のシャツをはだけ、眼鏡をかけたモデルがスカートをめくってお尻の「Nanno」ロゴ入りパンティーを見せるポーズ——。

タイ国内のショッピングモールに堂々と掲出されていたその広告を見て、多くのタイ人が目を疑ったのではないでしょうか。

この広告は、あの老舗下着メーカー・ワコールのタイ法人「Wacoal Thailand」が展開したもの。

人気Netflixドラマ『Girl from Nowhere: The Reset』とのコラボ商品「DARE COLLECTION」のプロモーションとして全国の店舗に掲出されたのですが、その内容がタイ人の価値観を根底からひっくり返すものだったのです。

謝罪から全店頭撤去までわずか一日という、異例のスピード対応が必要になるほどの大騒動。

なぜここまで燃え上がったのか、日本人にはちょっと理解しづらい部分もあるかもしれません(実はこれが大問題なのです)。

でも背景を知ると、「あ、それは怒って当然だ」と腑に落ちるはずなので、今回はこのニュースについてじっくり紐解いていきましょう。

ワコールのタイ広告炎上の経緯と批判内容

日本企業であるワコールが、タイでどんなことをやらかしたのか。

まずは事の経緯を整理しておきたいと思います。

知れば知るほど「なんでそれをOKにしたんだ……」という気持ちになってくるのが正直なところです。

コラボ相手のドラマ『Girl from Nowhere』とは?

まず前提として、コラボ相手の作品について知っておく必要があります。

Girl from Nowhere』は2018年にタイで生まれたNetflixのダークドラマで、日本でもかなりの人気を誇る作品です。

主人公は「Nanno(แนนโน๊ะ)」という謎の転校生。

彼女が次々と別の高校に現れ、そこで起きているいじめ・性的搾取・教師による権力乱用・レイプといった闇を暴き、加害者たちに容赦ない「因果応報」をくだしていく——そういうアンソロジードラマです。

日本でいうなら、社会問題を極限まで突き詰めたダークファンタジーといった感じでしょうか。

作品内にはヌードに近いシーンも含まれますが、それはあくまで「被害の残酷さを見せるため」のもの。

ファンサービスでも、キャラクターの魅力を引き出すためでもありません。

テーマの核心は「少女を性的に搾取することは絶対悪だ」というメッセージにあります。

2026年3月7日からは新シーズン『Girl from Nowhere: The Reset』の配信がNetflixで始まり、新たなNanno役に女優のBecky Armstrong(ベッキー・アームストロング)が起用されました。

BeckyはタイのGLドラマ(女性同士の恋愛もの)で知名度を持つ女優で、「Beckysangels」と呼ばれる熱烈なファンも多い。

そのタイミングに合わせてワコールとのコラボ商品が解禁されたわけです。

 

店頭に掲出されたのはどんな広告だったのか

コラボ商品「DARE COLLECTION」は、Nannoをモチーフにしたブラジャー・パンティー・Tシャツなどの下着ライン。

お尻部分に赤い「Nanno」ロゴが入ったパンティーなど、主人公の名前を冠したデザインが特徴でした。

発売当初は、Beckyのファン(Beckysangels)を中心に「可愛い!」「Nannoらしいセクシーさがある!」と大好評で、在庫切れで3〜4日待ちになるほど売れたほど。

しかし問題は、商品そのものよりも店頭のディスプレイ広告にありました。

モデルが白い学校制服のシャツを半開きにし、ネクタイを締め、プリーツスカートを羽織った状態で下着を強調するポーズを取っている。

眼鏡をかけてシャツの胸元を開いてみたり、スカートをめくり上げてお尻のロゴを見せたり。

背景には教室を模したセットが使われていたりもして、全体的に「学校の制服姿で下着を見せている女の子」という構図が前面に出ていたのです。

日本人が見たら「なんかJKもの……」ってなるアレです。

3月上旬、あるXアカウントが「モールで見つけたんだけど、私だけ変だと思う?」というコメントとともに店頭写真を投稿すると、数千いいね・リポストを超えるバズを引き起こしました。

タイ国内のニュースメディアが速報を出し始め、FacebookやTikTokでも炎上が広がり、ハッシュタグ「#Wacoal」「#เด็กใหม่(GFN)」「#แนนโน๊ะ(Nanno)」がトレンド入り。

批判の声がどれほど大きなものになったかは、ワコールの対応を見れば一目瞭然です。

3月8日に公式謝罪を発表——「画像とメッセージが不適切でした。シリーズのストーリーと下着の組み合わせが視聴者に誤解を招く形になってしまいました。深く反省しています」という内容でした。

そして翌3月9日までに全国すべての店舗でバナー・ポスターを物理的に撤去。

コラボキャンペーン自体も事実上の終了となりました。

広告を出してから撤去まで、わずか数日

日本のニュースサイトやタイ在住の日本人の間でも「日本企業なのに海外でこんなことをして……」と波紋を呼んだのは言うまでもありません。

3月10日現在、広告撤去は完了し炎上は収束傾向にあるものの、一部ファンや旧視聴者からは「二度と繰り返さないでほしい」という不信の声がまだ残っているようです。

ワコールの広告が批判された理由

一言で言えば「やってはいけないことを、よりによって最悪のタイミングでやった」ということになるのですが、それだけではピンとこないと思います。

タイ社会の価値観に照らしてみると、なぜこれほど大炎上になったのかがはっきり見えてきます。

ここからは、現地SNSやヤフコメで繰り返し指摘されていた批判ポイントを5つに整理してお伝えします。

①作品テーマとの決定的な矛盾

これが炎上の一番の根っこにある部分だと思います。

『Girl from Nowhere』という作品のテーマは「性的搾取をする側を罰する」ことにあります。

Nannoは被害者を守り、加害者に裁きを下す存在。

シリーズを通じて「少女の身体を性的に消費する行為は卑劣だ」というメッセージが一貫して流れていました。

それなのに、そのNannoの名前を冠したパンティーを、学校制服を着たモデルが見せびらかすポーズで宣伝する。

タイ人の目には、「加害者を罰する存在を、加害者と同じことをして売っている」ように映ったわけです。

タイのSNSでは「作品が性的加害者を罰するためのものなのに、自分が性的商品になってどうする」という声が溢れ、旧シリーズからのファンの失望は特に深かったようです。

「因果応報を描く作品が、自分自身に因果応報を招いた」という皮肉なコメントも多数見られました。

日本で例えると、痴漢被害を告発するドラマのヒロインを「制服コスプレ下着」で宣伝するようなもの。

作品の魂を真正面からぶち壊すような行為として受け取られたのは、ある意味当然だったかもしれません。

 

②制服を性的対象化する背徳感

日本に住んでいると「制服コスプレ」や「JK文化」はサブカルの一角として存在し、少し問題視されつつも「まあ……」と流されがちな文化があります。

ところがタイでは、学校制服の扱いが根本的に違います

タイでは学校は「子どもたちの未来を育む神聖な場所」であり、制服は「純粋さ・教育・希望の象徴」として非常に大切にされています。

制服姿の子どもや若者を性的なコンテキストで見せることは「教育という聖域を汚す行為」として、社会的に強く拒絶されるのです。

今回の広告は、まさにその制服を使って下着を強調していた。

教室を模した背景で、白いシャツをはだけ、スカートをめくる。

タイのネット民から「AVの表紙みたい」「学校制服を汚すな」という声が続出したのも、そういう文化的背景があってのことです。

タイ独特の「kreng jai(相手への配慮)」という感覚——この広告にはその配慮が一切ない、という怒りは、若者から親世代まで広く共有されていました。

「良い子(เด็กดี)の象徴を性的商品にするのは低俗だ」という声がFacebookのコメント欄を埋め尽くしていたのは、タイ人の制服への思いがそれだけ強いからではないでしょうか。

③児童ポルノを連想させる演出

もう少し踏み込んだ問題も指摘されていました。

GFNリセットは高校生設定の作品で、主人公Nannoは「謎の転校生=高校生イメージ」のキャラクターです。

演じるBecky Armstrongは成人していますが、キャラクター自体は未成年の学校生活を舞台に存在しています。

そのキャラクターを使った下着広告が、眼鏡・制服・スカートめくりという組み合わせで展開されれば、国際的には「未成年の性的対象化(sexualization of minors)」と受け取られても無理はありません。

実際、RedditやXでは英語圏のファンからも「creepy」「insensitive」「これはminorsのsexualizationだ」という批判が次々と上がり、タイ国内の炎上にさらに油を注ぐ形になりました。

タイには児童ポルノに対する厳しい法律もあり、「グレーゾーンを超えているのでは」という議論まで起きていたほどです。

日本人から見ると「アニメロリキャラグッズ並み?」と思えるかもしれませんが、タイでは「現実の児童保護意識」が極めて高いため、即座に大炎上となったわけです。

正直、これには日本人としても他人事ではない感覚を覚えてしまいます。

 

④仏教国の価値観とカルマへの冒涜

これが日本人にはいちばんわかりにくいポイントかもしれませんが、タイ社会を理解するうえで外せません。

タイ国民の90%以上は上座部仏教の信者で、「กรรม(カルマ=因果応報)」の考えが日常生活に深く根付いています。

「悪いことをすれば必ず報いを受ける」という感覚は、宗教的な信念を超えて、生活の常識として共有されているのです。

そして『Girl from Nowhere』という作品はまさに、そのカルマを体現した物語。

Nannoは因果応報の執行者として描かれており、シリーズのファンにとってNannoは「タイの道徳観が生んだ正義の象徴」でもあったわけです。

その象徴を下着の商品名にして、お尻にロゴを印刷して売る。

仏教的な感覚から言えば、これは「正義そのものを金儲けの道具にする」行為です。

タイのSNSでは「業を増やすマーケティングだ」「これ履いたら本物のNannoが因果応報をくだしに来るぞ」というジョーク混じりの批判が爆発しましたが、その底には作品の魂への深い冒涜感があったのでしょう。

日本企業がこのカルマ観を完全に無視した点が、タイ人にとって特に許しがたいポイントになったのかもしれません。

 

⑤ターゲット層への配慮不足

最後の問題は、もう少し現実的なマーケティングの話です。

ワコールというブランドは「女性の美しさと心地よさを支える」というコンセプトのもとに成り立っています。

メイン顧客は若い女性たちで、GFNのファン層も圧倒的に若い女性が多い。

その顧客層に向けて打ったプロモーションが、「未成年イメージの少女を制服姿で性的に見せる広告」だったというのは、どう考えても食い違っています。

初期にBeckyのファンが「可愛い!」と喜んで買い込んでいたのは事実ですが、少し引いた目線で見ると「娘と同じ年代のイメージを性的に売り込もうとした」広告に見えてしまう。

Facebookのコメント欄では「Beckysangelsは喜んでるかもしれないけど、普通の女性としては気持ち悪い」「資本主義の犠牲になった作品だ」という声が相次ぎました。

ワコールが長年かけて築いてきた「女性を大切にするブランド」のイメージが、この件で大きく傷ついてしまったのは間違いないでしょう。

この見出しは「ワコールの広告が批判された理由」と「ワコールのタイ炎上から学ぶ海外進出の教訓」の間に挟むのがベストだと思います。 タイ人の批判理由を説明したあと、「実は日本でも同じ反応が起きていた」という流れで読者の興味を引き、その後の教訓パートに自然につながります。

日本人からも批判の声

タイ国内での炎上が落ち着きを見せ始めた頃、今度は日本のSNSで別の火がつき始めていました。

thaich.net(タイランドハイパーリンクス)が3月9日に配信した「タイのワコールが謝罪し広告撤去」という記事がXで急拡散し、日本人ネット民の間にも「日本企業なのに恥ずかしい」という声が一気に広がったのです。

正直、これだけ早く日本人の間で広まるとは思っていなかったのですが、その反応の中身がまた興味深い。

タイ人とまったく同じ批判、つまり「作品テーマとの矛盾」「未成年イメージの性的利用」を指摘する声ももちろん多かったのですが、それ以上に目立ったのが「日本だったらこうはならなかった」という自省の声でした。

「タイでは普通におかしいと声を上げる人がいてすぐ謝罪になるのはまだ救い。日本ならミソジニーとロリコン男が理屈こねくり回し…」というXへの投稿が数千リポストされ、リプライには「まさに」「タイ羨ましいわ」が続出。

日本人が怒っているのはワコールに対してだけではなく、「日本社会そのもの」に対してもだったのかもしれません。

 

さらに面白い視点として注目を集めたのが、「新しい学校のリーダーズの影響じゃない?」という連想です。

「タイのワコール広告を参考にしたのは『新しい学校のリーダーズ』じゃない?」という投稿が1,596いいね・8万8千ビューを記録し、一気に拡散されました。

新しい学校のリーダーズは、学校制服を着て大胆に踊るパフォーマンスで世界的に人気を集めているJ-popグループ。

スカートを翻しながら踊るスタイルが、ワコール広告の「制服半開き+スカートめくり+下着強調ポーズ」とビジュアル的に似ているという指摘が、多くの日本人の「あ、確かに」という感覚と一致したようです。

「最初見た瞬間、リーダーズがモデルやってんのかと本気で思った」「制服着て性的な歌詞で踊るパフォーマンスがまさにこれ。でもリーダーズは衣装に工夫があるのに、ワコールは下着丸出しで低俗すぎ」といったコメントが相次ぎました。

この連想が興味深いのは、単なる「ビジュアルが似てる」という話だけでは終わらないからです。

J-popの制服アイドル文化がタイで逆輸入されて炎上した皮肉」という声も上がっており、日本が輸出してきたカルチャーが、海外でどう受け取られるかを改めて突きつける出来事になったのかもしれません。

Yahoo!ファイナンスのワコール株掲示板でも「本社声明を出せ」「株価に響く」という投資家目線の批判が飛び交い、炎上は消費者だけの話では済まなくなってきています。

全体として日本人反応の9割以上は批判・自省モードで、擁護意見は「ファンサービスとしてアリだったのでは」という声が少数あるものの、即座に反論されてほぼ埋没している状況です。

「タイの迅速な謝罪と撤去を見て、日本社会も見習うべきだ」——そんな声が日本側からも多く上がっているという事実は、この炎上が単なる「海外のゴシップ」ではなく、日本人自身が向き合うべき問いを内包していることを示しているのではないでしょうか。

子供の性的対象化に対する日本と世界の『差』

ここまで読んできて、「タイ人の反応はわかった。日本人も批判している。

じゃあなぜこういう広告がそもそも生まれたのか」という疑問が浮かんだ方もいるかもしれません。

その答えを考えるうえで、避けて通れないのが「エプスタイン問題」という世界的な潮流です。

あまり日本では大きく報じられていないのですが、アメリカの富豪Jeffrey Epstein(ジェフリー・エプスタイン)による未成年少女への組織的な性的搾取事件は、2026年現在も欧米で追及が続いています。

政界・芸能界・スポーツ界の著名人が次々と名前を挙げられ、「権力者による児童性的搾取」への社会的な怒りは、#MeToo運動と合流する形でさらに大きくなっています。

この流れを受けて欧米では、「制服姿のモデルを使った下着広告」はほぼアウトという共通認識が広告業界にまで浸透しつつあり、ユネスコやEUも「児童性的対象化の広告規制」を強化しています。

タイが今回の広告にあれほど敏感に反応したのも、こうした世界的な意識の高まりと無関係ではないでしょう。

 

一方、日本ではエプスタイン事件の核心——つまり「権力による組織的な児童搾取の構造」——は、欧米と比べてほとんど深く報じられてきませんでした。

イタリア在住のコラムニスト・ヴィズマーラ恵子さんは、今回のワコール広告炎上に関連して「ペドフィリアは世界中で排除運動が盛んです。日本人の価値観に危機感を感じます」という言葉をXに投稿し、海外在住の日本人から大きな共感を集めました。

この指摘は、少し痛いところを突いてくる気がします。

日本では「アニメはフィクションだから」「可愛いだけでエロじゃない」という理屈が、制服キャラクターの性的な商品化を長年守ってきました。

でも世界の目線から見ると、フィクションか現実かという区別よりも「子供のイメージを性的に消費すること自体がアウト」という感覚がすでに主流になっているのです。

「日本だけが、子供を守るためのグローバルな防波堤から取り残されているのでは」——そんな危機感を、海外に暮らす日本人たちはひしひしと感じているようです。

今回ワコールがタイで炎上した背景には、もちろん文化リサーチ不足という企業側のミスがあります。

でも同時に、「学校制服と下着を組み合わせることへの抵抗感が薄い」という日本的な感覚が、企画の入口でブレーキをかけられなかった一因ではないか——そう考えると、これは企業だけの問題では済まないかもしれません。

世界が「子供の性的対象化はゼロ・トレランス」という方向に動いている今、日本社会全体がこの問いと向き合うタイミングに来ているのではないでしょうか。

実はワコール、過去にも炎上を繰り返していた

「今回だけの話なら、まあ失敗は誰でもある」——そう思えれば少し気持ちも楽なのですが、実はワコールはこれが初めての炎上ではありません。

むしろジェンダーや女性の扱いをめぐる炎上を繰り返している「常連企業」として、ネット上では認識されているほどです。

少し振り返ってみると、2018年に男性下着の広告で「東北美人に後ろから抱かれているような感じ」というコピーを使い、「女性をモノ扱い」「セクハラ表現」と批判が殺到したことがありました。

公式SNSで紹介ツイートをしてしまったことで一気に拡散し、即削除・謝罪という対応に追われています。

さらに、社員の約9割が女性なのに管理職は2割・役員は1割未満という実態が「名ばかり女性活躍企業」として槍玉に挙げられ、「女性をモノ扱いする広告を出す会社が女性活躍を語るな」という二重批判にまで発展しました。

 

そして記憶に新しいのが2024年10月の試着室ポリシー炎上です。

「性別にかかわらず利用できるフィッティングルームをご案内」という従業員向けハンドブックの記載が、「女性の安全を無視している」「密室で何をされるかわからない」という不安の声を呼び、SNSでトレンド入りするほどの騒動になりました。

LGBTQ対応として取り組んだ施策が、逆に女性客の信頼を失う結果になってしまったわけです。

こうして並べてみると、ワコールの炎上にはひとつの共通点が見えてきます。

それは「女性を尊重するブランド」を掲げながら、女性が不快に感じたり不安を覚えたりする判断を繰り返しているという点です。

Xでは「ワコールの過去炎上まとめ」投稿が定期的に回っており、「会社の体質が気持ち悪い」という声がある一方で、「それでもブラはワコールが一番いい」という複雑な声も混在しています。

消費者としての本音が「製品は好きだけど会社は信用できない」という分裂状態になってしまっているのは、長年の積み重ねがあってのことなのかもしれません。

今回のタイでの炎上は、そういう文脈の上に起きた出来事です。

「一度きりのミス」ではなく「繰り返されるパターン」として見ると、ワコールに求められているのは個別の謝罪ではなく、企業としての根本的な意識改革なのではないかという気がしてきます。

ワコールのタイ炎上から学ぶ海外進出の教訓

今回の件、ひとつの企業の失敗談として「おかしな話もあるもんだ」で終わらせるのは少しもったいないかもしれません。

日本企業が海外に進出するとき、同じ轍を踏まないためのヒントが、この炎上には詰まっているからです。

最大の原因は文化リサーチの欠如

今回の炎上を引き起こした根本は、タイ文化への理解が決定的に足りていなかったことに尽きると思います。

ワコールは日本に本社を置く老舗企業です。

日本では「女性の身体を尊重する下着メーカー」として信頼を築いてきた。

しかしタイ法人の今回のプロモーションは、「学校制服×下着×性的ポーズ」という、タイの価値観から見れば複数のタブーを同時に踏みにじるものでした。

仏教のカルマ観、制服を聖域とみなす意識、未成年保護への強い感覚——これらはタイ社会の基盤であり、現地に根ざした感覚を持つスタッフや文化的な外部アドバイザーが関わっていれば、「これはまずい」という判断が必ず出てきたはずです。

「グローバル展開は現地法人に任せておけばいい」というスタンスが通用しないことを、今回のワコールの件は証明してしまったといえるでしょう。

他の日本企業にとっても、対岸の火事ではないはずです。

 

「IPコラボ」には倫理審査が必要

もうひとつ問題だったのは、そもそもこのコラボが「企画の入口」で止まらなかったことです。

「IP」という言葉を使うと難しく聞こえますが、要するに「キャラクターや作品のブランドイメージを商品に使う権利」のことです。

今回で言えば、Nannoというキャラクターのイメージをワコールの下着に使わせてもらう、という契約がNetflixや制作会社との間で結ばれていたわけですね。

ところが、GFNは「性的搾取を批判する作品」です。

そのキャラクターのイメージを使って「性的に見せる広告」を作るという矛盾は、企画の段階で誰かが気づいて止めるべきでした。

ワコールとのコラボを承認したNetflixや制作会社側にも、「作品の精神を守る責任」はあったはずで、その点を指摘するタイ人の声も少なくありませんでした。

ハリウッドでは映画やドラマのキャラクターを商品化する際に「倫理ガイドライン」を設けることが標準化されつつあります。

「このキャラクターの本質と矛盾しない使い方か」という視点が、企画の入口で問われる仕組みです。

日本企業、そしてコンテンツを持つ側にとっても、同様の基準を持つことが今後は求められていくのかもしれません。

謝罪で収まったが、信頼回復はこれから

ワコール タイランドの対応は、速さという点では評価できる部分もあります。

批判が広がった翌日には謝罪し、翌々日には全国の広告を撤去した。

タイ文化では「面子(na)」を大切にする意識が強く、素早く謝罪して潔く引くことが最低限の信頼を保つことにつながります。

その点では、ぎりぎりのところで「一応やるべきことはやった」と見られたのでしょう。

しかし、タイのネット民の声は「謝罪したからOK」よりも「最初からこんな企画を通すな」という怒りの方が根強く残っています。

ワコールが今後タイ市場で信頼を回復するには、言葉だけでなく行動で示していくしかありません。

3月10日時点では、タイ国内でのCSR活動(児童保護支援など)の強化が観測されており、ブランドの再構築に向けた動きが注目されています。

タイ国内での地道な取り組みが、長期的な信頼につながっていくのではないでしょうか。

そして日本人として少し立ち止まって思うのは、この問題が「タイだけの話」では決してないということです。

日本でもアニメキャラのエログッズが普通に売られ、制服を使った性的コンテンツが当たり前のように存在しています。

タイが「それは許されない」と声を上げ、企業がわずか一日で全国広告を撤去する事態にまでなったこの炎上は、コンテンツと商業の境界線をどこに引くのかという問いを、私たちにも静かに突きつけているように感じます。

ちなみに、シリーズ自体は3月7日の配信開始後に好評を博し、視聴者数が急増中とのこと。

国際リメイク(日本版『Transfer Student Nanno』)も4月に予定されており、作品の人気は炎上とは無関係に衰えていないようです。

「GFNが描く学校の闇を、現実の商業が再現してしまった」——その皮肉な構図が、今回の炎上が単なる企業ミス以上の意味を持っている理由だと思います。

ワコールのこれからの動きと、タイ市場での信頼回復の行方に、引き続き注目しておきたいと思います。

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