2026年2月20日、札幌地裁が山本章一氏(本名:栗田和明)に対して1100万円の賠償命令を下しました。
教え子だった少女への約3年間にわたる加害行為が認定されたこの判決は、多くの人に衝撃を与えています。
ところが今、ネット上で「もう一つの記録」が急速に注目を集めていることをご存じでしょうか。
精神科医・林先生が運営する「Dr林のこころと脳の相談室」というブログに、2021年4月5日付で掲載された一件の相談事例です。
タイトルは「高校3年間、通っていた高校の先生とセックスをしていました」。
かなり衝撃的なタイトルですが、これが実際にブログに掲載されている原文そのままの表記です。
この相談を読み進めると、今回の判決で認定された被害内容と驚くほど重なる点が次々と出てきます。
被害者の年齢、加害者の属性、被害の期間、そして報道でも大きく取り上げられた異常な加害の手口まで。
「偶然の一致」で片づけるには、正直あまりにも符合する点が多すぎるんですよね。
しかもこの相談が投稿されたのは、小学館が山本氏の連載を「体調不良」として休止させていた時期のまっただ中。
被害者は限界状態でSOSを発していたのに、その裏側で何が起きていたのか。
時系列を追っていくと、思わず息をのむような構図が浮かび上がってきます。
この記事では、相談内容と判決を項目ごとに突き合わせ、両者の一致度を検証していきます。
目次
山本章一事件の被害者が精神科医に相談?
判決で明らかになった加害行為は、多くの人の想像を超えるものでした。
しかしその5年も前に、すでにネット上にある「記録」が残されていた可能性があります。
ここではまず、その相談内容と投稿のタイミングを整理し、山本章一事件との関連を見ていきます。
精神科医・林先生が運営する「Dr林のこころと脳の相談室」は、一般の方からのメール相談に林先生が回答する形式のサイトで、精神医療の分野ではかなり広く知られた存在です。
ここに2021年4月5日付で掲載された事例番号4285の相談が、山本章一事件との関連で大きな注目を集めています。
【4285】高校3年間、通っていた高校の先生とセックスをしていました
Q: 私は今年で20歳になる大学生の女で、普段は絵を描いたり、短歌を詠んだりしながら過ごしています。
PTSDについての相談です。
私は15歳から18歳までの高校3年間、通っていた高校の先生とセックスをしていました。先生は50過ぎになる人で、私の家庭環境の酷さから声をかけてくれて、仲良くなりました。特殊な性癖を持っており、主に先生の排泄物を食べさせられながらセックスしたり、私のお尻にグリセリンを入れて腹痛を起こさせたり、外で全裸にさせられたりしていました。奴隷と呼ばれており、人間扱いされない日々を送っていたと思います。
私は初めて先生にセックスをされた日から意識がぼんやりしており、当時は全く苦しみを感じられませんでした。しかし、大学への進学で地元を離れてから事の大きさに気がつきました。その先生は昨年に逮捕されたのですが、最近、当時感じられなかった苦しみが一気に雪崩れ込んでくる感覚があります。
日常生活を送っていて突然、過去の自分のアホ加減に愕然としたり、先生と会っている時、頻繁にパニックになったり号泣してしまう事があったのですが、それをすぐに苦しさと紐づけられなかった自分にショックを受けたり、初めて排泄物を食べさせられたりした日は胃を壊して一晩中吐き続けてしまったのですが、その時の全身が震えて勝手に涙が出るような記憶が蘇ってきて、何もできなくなってしまいます。
かと思えば、当時のように何もかもがぼんやりして、何も苦しくないけど何も楽しくないような状況になったり、過去の無知な自分が悔しくて一日中泣き続けてしまったり、当時突然号泣するような状況になったときに、先生から、「貴女は解離性同一性症候群です。今は〇〇ちゃんが出ているから泣いているんですね。」という慰められ方をよくしたのですが、3年間近くそのような事を言われ続けたせいか、本当にそのような症状が出ることもあります。好きなアーティストの曲を聞いていて、「先生」という単語が出てきただけで丸一日動けなくなったり、街中を歩いていて先生と似た顔つきのひととすれ違うだけで過去のことしか考えられなくなったりします。
17歳のときに精神科を訪ねてみたことがあるのですが、その時は苦しみの元凶が先生だと自覚できていなかったせいかうつ病だと診断されました。先生のセックスが始まってから五年、終わってから二年、逮捕から丸一年経っています。日を追うごとに段々良くなると思い放置していたのですが、悪化しているような気すらします。これはPTSDになるのでしょうか?また、苦しくなった時に自分で行える対処法はありますか? 一度うつ病の診断をいただいたので気が引けるのですが、一度診断を貰っていても他の病気だと診断してもらうことは出来ますか?お忙しい中、長々とすみません。よろしくお願いします。
引用元:Dr林のこころと脳の相談室
相談者は20歳の大学生女性。
タイトルは「高校3年間、通っていた高校の先生とセックスをしていました」という、読むだけでドキッとするもの。
15歳から18歳までの間に50代の男性教師から受けた行為について、かなり具体的に綴っています。
きっかけは家庭環境の問題だったそうです。
家庭で居場所がなかった相談者に、その先生が声をかけて親しくなり、やがて関係がどんどんエスカレートしていった。
先生には「特殊な嗜好」があり、通常ではとても考えられないような行為を繰り返し強いられたと書かれています。
具体的には、衛生面で深刻な問題のある行為(排泄物に関連する強要)を受けたこと、「奴隷」と呼ばれて人間扱いされなかったこと、屋外で衣服を脱がされたこと、身体的な苦痛を伴う行為をされたこと。
読むだけで胸が締めつけられるような内容なのですが、これらが判決で認定された事実とあまりにも重なっています。
相談者は在学中、意識がぼんやりとする状態がずっと続いていたそうです。
当時はそれが心の防御反応だとは気づいていなかった。
大学進学で地元を離れてから突然トラウマが噴き出し、パニックや号泣、一日中動けなくなる状態が続くようになったと訴えています。
17歳の時にうつ病と診断されていたものの、その時点では本当の原因にたどり着けなかったようです。
ここで見逃せないのが、相談文に出てくる「先生は昨年、逮捕された」という一文。
投稿が2021年4月5日なので、「昨年」は2020年頃を指すことになります。
山本章一氏が児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)で罰金30万円の略式命令を受けたのは2020年2月のこと。
報道上は「略式起訴・罰金」とされており、身柄を拘束されての逮捕という記載はありません。
相談文の「逮捕された」は被害者側の認識によるものかもしれませんが、2020年に刑事処分を受けた時期との一致は明らかです。
堕天作戦の連載が「体調不良」を理由に休止になったのも、まさにこのタイミングでした。
林先生の回答は非常に明確でした。
「このケースの現在の状態はPTSDといっていいと思います」と断言し、「トラウマにかかわるケースでは、本人がトラウマを語らないことはしばしばある」と説明。
「今からでも遅くはないので、高校時代のことを主治医に話してください」とアドバイスしています。
この相談が掲載されたのは2021年4月。
そして小学館の担当編集者が被害者・加害者との3者LINEグループで示談交渉に介入したとされるのが、そのわずか1ヶ月後の2021年5月。
この「たった1ヶ月」という近さが、後のセクションで極めて重要な意味を帯びてきます。
山本章一事件の判決と林先生への相談内容の一致度が高い
両者を項目ごとに突き合わせた結果、全体の一致度はおよそほぼ100%に近いという極めて高い水準になりました。
匿名の相談投稿ですから「これが被害者本人だ」と断定まではできません。
でも、偶然の一致として片づけるにはあまりにも符合する点が多すぎる。
ここからは判決で認定された事実と相談内容を、一つずつ照らし合わせていきます。
まず被害者の属性から。
判決では「15歳スタートの女子生徒、現在20代後半」と認定されています。
相談は「15歳から18歳までの高校3年間」「相談時20歳の大学生女性」。
被害開始の年齢と性別が完全に一致していて、2021年投稿時点で20歳ということは逆算すると被害開始は2016年頃。
判決報道の「2016年4月入学」とぴったり重なるわけです。
次に加害者の属性。
判決は「50代男性、通信制高校の美術講師」。
相談は「50過ぎの高校の先生、特殊な嗜好を持つ」。
年齢層も教師という立場も一致しています。
なお、相談には漫画家であることや出版社に関する記述は一切出てきません。
匿名の相談サイトで加害者を特定できるような情報を伏せるのは、まあ当然の判断でしょう。
被害期間も見てみます。
判決が「約3年間(2016年頃〜2019年頃)」、相談が「高校3年間(15歳〜18歳)」。
「3年間」という数字がそのまま一致。
これだけでもかなり強い符合だと思いませんか。
さて、ここからが最も重要な部分です。
判決で認定された加害行為と、相談に記された内容の比較。
判決では「おしおき」と称して、衛生面で深刻な問題のある行為を被害者に強要していたことが認定されています。
相談文にも、排泄物に関連する同種の行為が明確に記されていました。
こうした極めて特殊な加害パターンは、一般的な事件ではまず見かけません。
正直、この一点だけ取り上げても両者に関連がないと考えるのは相当無理がある話です。
判決ではさらに、被害者の身体に「奴隷」「ペット」「先生のもの」などと書いて撮影していた行為も認定されました。
相談では「奴隷と呼ばれて人間扱いされない日々」という記述がある。
「身体への落書き撮影」の具体的な言及こそないものの、支配と従属の構図そのものがそっくりです。
屋外での行為についても一致が見られます。
判決は「性的な道具を装着させたまま外出」「屋外での露出行為」を認定。
相談は「外で衣服を脱がされた」「身体的苦痛を伴う特殊な行為」を記録。
表現こそ違いますが、指し示している行為の本質は同じものだと判断できます。
心理面の比較にも目を向けてみます。
判決ではグルーミングという手法が明確に認定されました。
グルーミングとは、相手の信頼を少しずつ獲得して心理的に支配していく手口のこと。
この事件では加害者が「父親代わり」のような役割を演じ、家庭の悩みに付け入る形で信頼を築き、それを悪用して支配関係に持ち込んだとされています。
相談文にも「家庭環境の酷さから声をかけられ、仲良くなった」とあり、まさに教科書通りのグルーミングが描かれているのです。
精神的な後遺症の一致度はさらに高く、ほぼ完全一致と言ってもいいかもしれません。
判決では重度のPTSD(心的外傷後ストレス障害)と解離性同一性障害(DID)が認定されています。
PTSDはよく聞く言葉ですが、DIDは「自分の中に複数の人格が存在する」状態。
あまりに過酷な体験から心を守るために、意識が「分離」してしまう防御反応から生まれるものです。
判決報道では被害者が「あまりにつらすぎて解離状態に陥り、自分の心から自分を追い出す癖になった」と証言しています。
一方、相談文には「意識がぼんやりして、当時は苦しみを感じなかった」という記述がある。
これはまさに解離状態そのもの。
在学中は心が「離れる」ことで自分を守っていたのに、大学進学で安全な環境に移った途端、フタをしていたトラウマが一気に噴き出した。
林先生もPTSDを確定的に診断し、フラッシュバックやパニック、感情の麻痺、「先生」という言葉を聞いただけで丸一日動けなくなるトリガー反応などを指摘しています。
刑事関連の時期も確認しておきます。
判決報道によると、山本氏は2020年2月に児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)で罰金30万円の略式命令を受けています。
相談では「昨年(2020年頃)逮捕された」と記載。
「逮捕」という表現は被害者側の認識差かもしれませんが、2020年の刑事処分という時期の一致は動きません。
ここまでの比較を整理すると、被害者属性、加害者属性、被害期間、加害の手口、心理的支配の構図、精神的後遺症、刑事処分の時期と、ほぼすべての項目で完全一致を示しています。
なかでも決定的なのは、衛生面での深刻な行為、奴隷的な支配関係、屋外での行為という「3つの特殊な要素」が組み合わさって一致している点です。
これらが同時に揃うケースは統計的にもほぼ起こり得ないと言っていい。
同一事件の被害者が書いた相談記録である可能性は、極めて高いと判断するのが妥当でしょう。
唯一の大きな違いは、相談に漫画業界や出版社に関する記述が一切ないこと。
ただ、匿名の相談サイトで加害者を特定できる職業情報を伏せるのは当然の選択です。
相談者が「絵を描く」趣味を持っていることは記されており、美術系の高校に通っていた被害者像とも矛盾はありません。
被害者のSOSを小学館はなぜ無視したのか
ここまでの検証で浮かび上がるのは、あの相談投稿が「被害者の絶望的なSOS」だったという事実です。
そして最も問わなければならないのは、このSOSが発せられた時期に小学館側が何をしていたのか。
時系列を並べてみると、被害者の叫びと組織の対応の落差に正直言葉を失いそうになります。
2021年4月5日、被害者と思われる女性がネット上に相談を投稿した時点で、彼女はもう限界状態でした。
相談文には「日を追うごとに悪化している」「放置していたが限界」「一日中泣き続ける」「動けなくなる」といった表現が並んでいます。
パニック発作や号泣が日常になっていて、大学生活もままならない状態だったことが伝わってきます。
林先生もこの相談に「PTSDといっていい」と明確に診断し、「今からでも遅くはないので専門医に相談を」と回答しています。
つまり、この時点で被害者が深刻な精神的ダメージを負っていることは誰の目にも明らかだったわけです。
しかもこの相談は、誰でもアクセスできるネット上の公開情報としてずっと残っていました。
問題は、その投稿のわずか1ヶ月後に起きたことです。
2021年5月、担当編集者の成田卓哉氏とされる人物が、被害者・山本氏との3者LINEグループに参加し、示談交渉を始めたとされています。
報道によると、編集者が提示した条件は「150万円の即払い」「口外禁止(守秘義務)」「被害者がマンガワン連載再開を認めること」、さらに「公正証書の作成」まで含まれていたといいます。
さらに衝撃的なのが、その交渉の中で成田氏が口にしたとされる発言です。
「連載が止まれば示談金が払えない」「この件は法務部にも共有されている」「連載の判断は法務部と社長室が決める」という言葉が、LINE記録として残されていたと文春は報じています。
「法務部にも共有されている」——この一言が、後の小学館公式声明と真っ向からぶつかることになるわけです。
この条件、一つずつ噛み砕いて考えてみましょう。
まず150万円という金額。
判決で認定された賠償額は1100万円ですから、その7分の1にも満たない。
被害者が生涯にわたって抱え続けるPTSD、大学を中退せざるを得なかった事実、自ら命を絶とうとしたこともあったという壮絶な後遺症。
それらすべてをたった150万円で「解決済み」にしようとしていたことになります。
次に口外禁止の条件。
この件を外部に一切話すなということです。
公正証書まで作って法的拘束力を持たせようとしていたわけですから、「お願い」なんて柔らかい話ではありません。
仕組みとして口を塞ごうとしていたと受け取るのが自然でしょう。
そして連載再開の承認要求。
PTSDで一日中動けなくなっている被害者に対して、加害者が何事もなかったかのように商業活動を続けることへのゴーサインを求めていた。
この条件がどれほどの精神的負荷をかけるか、少し考えれば分かることだったのではないかと思わずにいられません。
被害者がネット上で絶望的な叫びを上げていたそのわずか1ヶ月後に、「これで手を打ってくれ」と金銭を差し出していた構図。
このタイミングの近さは、偶然の重なりとして流すにはあまりにも生々しいものがあります。
もちろん、小学館の声明では「編集部が組織として関与する意図はなかった」「当事者双方からの求めに応じる形で編集者がグループに参加した」と説明されていました。
しかし2020年の時点で刑事処分を把握していた以上、被害者がどんな状態にあるかを知り得る立場にあったことは間違いないでしょう。
少なくとも「被害者が耐えられないほど苦しんでいる」という事実は、示談の時点で十分に入手可能だったはずです。
結局、この示談は不成立に終わっています。
被害者側が「事実の公表」を条件としたためです。
しかし小学館はその後、2022年12月に山本氏を「一路一」名義で『常人仮面』の原作者として新連載をスタートさせました。
被害者のSOSはスルーされたまま、加害者は名前を変えて業界に復帰し、5年間の隠蔽が続いたのです。
山本章一は未成年女性との性交強要で撮影もしていた。 一方、被害者との示談協議に介入し事件後も懇意の謎編集者は2009年当時、旅行先のサイパンで「女姦(まわ)した」とmixiに投稿(騒ぎ後に削除)。文脈からはハメ撮りを匂わせる。 何が彼ら二人を引きつけ合ったのか全くわからない…… pic.twitter.com/vpFExbQN38
— シグナリーファン-無線受信・自衛隊・警察装備・防災系専門 (@signallyfun) February 28, 2026
改めて、時系列を整理しておきます。
2020年2月、山本氏が児童買春・児童ポルノ禁止法違反で罰金30万円の略式命令。堕天作戦が休載。
2021年4月5日、被害者と思われる女性が精神科医に相談を投稿。「限界」「悪化」と訴える。
2021年5月、編集者・成田卓哉氏が示談交渉に介入。150万円と口止め条件を提示。「法務部にも共有されている」「連載止まれば金払えない」発言(LINE記録)。
2022年7月、被害者が民事提訴。
2022年10月末、堕天作戦の配信が完全終了。
2022年12月、山本氏が「一路一」名義で『常人仮面』原作を開始。
2026年2月20日、札幌地裁が1100万円の賠償を命じる判決。
2026年2月27日、マンガワン編集部が謝罪声明を発表。「一路一=山本章一」を公式認定。
2026年2月28日、小学館が調査委員会立ち上げを発表。
2026年3月4日、文春電子版が報道。小学館が最新見解を発表。
2026年3月6日、被害者側・山本氏側の双方が札幌高裁に控訴。高裁での審理へ。
こうして並べてみると、被害者が声を上げるたびに、その声を押さえ込む動きがあったようにも読めてしまいます。
「知らなかった」で済む話ではなく、「知っていたのに動かなかった」のか、「知った上で別の方向に動いていた」のか。
この時系列を見る限り、そうした疑念を拭い去ることは難しいのが正直なところです。
小学館の最新見解と「矛盾」を整理する
小学館は3月4日、改めて公式見解を発表しました。
内容を整理すると——「担当編集者より法務室に相談があったが、当事者ではないため弁護士委任を促した」「会社ぐるみで関与したとの認識はございません」「2022年の別名義再開は2026年2月25日に編集部から報告を受けて初めて確認した」。
そして第三者委員会の設置も表明しています。
でも待ってください、一つずつ確認してみましょう。
「会社ぐるみではない」という主張と、「法務部にも共有されている」「連載の判断は社長室が決める」という成田氏のLINE発言は、どう整合するのでしょうか。
文春はこのLINE記録を根拠に上層部の関与を報じています。
成田氏が「積極的に3者グループに参加して条件を提示した」という事実そのものは、小学館側も否定していない。
「関与を促した」のではなく「自主的に参加した」という説明はできても、「組織的関与なし」と言い切れるのかどうか、疑問符がつきます。
もう一つ引っかかるのが「2026年2月25日に初めて確認」という部分。
判決が出たのが2月20日。
その5日後に「初めて知った」とは——判決確定というプレッシャーを受けてようやく動いたという印象を、多くの人が持つのではないでしょうか。
まとめると、「会社ぐるみ隠蔽」とまでは言えないかもしれないが、「編集部と上層部の情報分断・ガバナンスの欠如」は明らかだということです。
これを「認識不足」の一言で片づけるのには、正直かなり無理がある。
小学館の公式声明は「確認体制の不備」「認識不足」という言葉でまとめられていました。
でも、ネット上に残された被害者の悲鳴は、誰でも読める状態で5年間ずっとそこにあったのです。
その声が組織に届かなかったのか、それとも届いていたのに何もしなかったのか。
なお2026年2月28日、小学館は公式サイトを更新し、調査委員会の立ち上げを発表しました。
小学館としての声明を発表。弁護士を加えた調査委員会を立ち上げることを表明。この文言から察するとおそらくは社内調査と思われる。… pic.twitter.com/hHPgiR0cbu
— 係長 (@cakari14) February 28, 2026
「人権・コンプライアンス意識の欠如」を認め、さらなる謝罪を表明しています。
同日には日本漫画家協会も声明を出し、「業界全体の課題」として受け止める姿勢を示しました。
マンガワンでは作家の配信停止宣言が2月27日から28日にかけて相次ぎ、カレー沢薫氏、松木いっか氏などが離脱を表明、高橋留美子氏ら大御所も配信停止という事態に発展しています。
マンガワンそのものの存続が問われるレベルにまで事態は拡大しており、今もなお進行中です。
「次の子を見つけた」——被害者が命がけで声を上げた理由
この事件には、もう一つどうしても触れなければならない話があります。
被害女性が民事提訴に踏み切った動機として語られている、ある一言の話です。
被害女性が訴訟を決意した背景の一つに、山本氏が「次の子を見つけた」とも受け取れる発言をしていたという情報があります。
自分が被害を受け、PTSDで大学を辞めざるを得なかったほどのダメージを負いながら、それでも「もうこれ以上誰かに同じ思いをさせたくない」と立ち上がった。
その勇気の大きさを、もう一度ここで確認しておきたいのです。
被害女性が声を上げたのに対して、小学館は何をしたか。
示談交渉に編集者を送り込み、「連載が止まれば金払えない」という論理で被害者に圧力をかけた。
そして示談が不成立に終わると、今度は加害者に別名義を与えて業界復帰させた。
「被害女性の勇気が踏みにじられた」というネット上の怒りは、この一点に集中しています。
「次の被害者を防ごうとしたのに、出版社は加害者の収入を守った」——その言葉が刺さります。
3月6日時点でもネット上の怒りの矛先は明確です。
成田卓哉氏個人への批判(「口止め工作の実行犯」「脅し文句」)が最も大きく、次いで「法務部や社長室は共有されていたのになぜ動かなかったのか」という経営責任への追及、そして「第三者委員会は今さら遅すぎる・形だけ」という不信感。
「被害女性の勇気を無駄にするな」という声も広がっており、単なる炎上を超えた社会的なうねりになってきています。
控訴審へ——原告・被告の双方が戦いを続ける
2026年3月6日、この事件はさらに新たな局面に入りました。
なんと、被害女性側と山本章一氏側の双方が、札幌高裁に控訴したことが明らかになったのです。
弁護士ドットコムニュースが同日報じたもので、民事訴訟法の控訴期限(判決から2週間以内)ギリギリのタイミングでの申立てとなりました。
まず、被害女性側の控訴理由から整理します。
一審で棄却されたのは、学校法人(山本氏の勤務先高校)に対する損害賠償請求でした。
裁判所は「学校側の監督責任・予見可能性を認められない」と判断しましたが、被害女性側はこれを不服として上訴。
「なぜ学校は気づかなかったのか」「気づいていたのに黙認したのか」——その真相を高裁で問い直すことになります。
そして、もう一方の当事者・山本氏側も控訴しています。
こちらの控訴理由は1100万円という賠償額そのものへの不服、および加害行為の認定の妥当性を争う可能性が高いとみられています。
一審で自らの行為が「約3年間にわたる性的虐待」と認定されたにもかかわらず、賠償を争い続けるという姿勢に、ネット上では怒りの声が広がっています。
「1100万円でさえ不服なのか」「反省どころか逃げ続けている」という批判。
正直、この反応は当然ではないかと感じる人も多いのではないでしょうか。
控訴審での主な争点は大きく2つ。
一つは学校法人の安全配慮義務違反の有無——通信制高校という特殊な環境の中で、講師と生徒の異常な関係が3年間にわたって続いていた事実をめぐるもの。
もう一つは賠償額の妥当性——山本氏側が1100万円の減額を求め、被害者側がその正当性を主張するという攻防です。
高裁での審理は通常数ヶ月から1年程度かかりますが、「学校も出版社も被害者を守らなかった」という連帯責任論が世論の中で高まっており、注目度はさらに上がっていくはずです。
ネット上の反応も二極化しています。
被害女性の控訴については「学校の責任も絶対に問うべき」「諦めないで」「勇気ある決断」と支持の声が大勢を占めています。
一方、山本氏側の控訴については「賠償すら認めないのか」「最低」「反省ゼロ」という怒りが渦巻いています。
そして両者が控訴したことで「裁判が長引いて被害者がさらに苦しむ」という懸念も広がっており、審理の長期化が被害女性の心身にどれだけの負担をかけるかという問題も、真剣に考えなければなりません。
小学館の再起用問題との関連についても、控訴審の文脈で改めて注目が集まっています。
山本氏が2020年に刑事処分を受けていたにもかかわらず、別名義「一路一」として『常人仮面』の原作者に起用されていた事実。
文春が報じた示談交渉疑惑——編集者・成田氏の関与、「法務部・社長室とも共有されている」というLINE発言——がいまだ「組織的関与なし」という説明と矛盾し続けている現実。
高裁では山本氏側が賠償額を争う一方で、小学館の隠蔽体質と加害者保護優先の構造が間接的にでも審理の俎上に乗る可能性があり、そのことが「第三者委員会への圧力」にもなり得るという指摘もあります。
被害女性はこれまでも、何度もくじけそうになりながら戦い続けてきました。
精神的な後遺症が残る中での提訴、示談圧力、そして一審での学校法人の責任否定。
それでも諦めずに控訴したという事実が、この人の強さを示しています。
しかし、彼女はDIDとPTSDを発症し、今もなお後遺症と向き合い続けています。
あの相談投稿に「日を追うごとに悪化」と書かれていた症状が、5年経った今どうなっているのかは分かりません。
ただ、あの文章を読んだ人であれば、軽く済んでいるとはとても思えないはずです。
この事件は、才能や利益の前で人権が踏みにじられる時代はもう終わりにしなければならないということを、痛ましい形で突きつけています。
被害者の回復を心から祈りつつ、控訴審がどう展開するのか、小学館の第三者委員会が何を明らかにするのか、そして業界全体がどう変わっていくのか、引き続き見守っていきたいと思います。





