2026 FIFAワールドカップ決勝トーナメント2回戦(ラウンド16)のアルゼンチン対エジプト戦は、劇的な逆転劇だけでなく、VARによるゴール取り消しが大きな話題となりました。

エジプトは2点目を決めたかに見えましたが、VARの介入によって得点は取り消しに。

その後、エジプトは実際に2-0とリードを広げたものの、終盤にアルゼンチンが3ゴールを奪って逆転勝利を収めました。

この展開もあり、「誤審ではないか」「ワールドカップは八百長なのでは」といった声までSNSで広がっています。

では、この判定は本当に誤審だったのでしょうか。

なぜ八百長という疑惑まで浮上したのか。

ここからは、VARの判定基準やルールを踏まえながら、確認できる事実と議論になっているポイントを分けて整理していきましょう。

 

エジプトのゴール取り消しは誤審だったのか

 

まず押さえておきたいのは、ルール上は認められる判定だった可能性が高い一方で、「納得できる判定だったか」は意見が分かれているという点です。

問題となったのは、後半13分頃、エジプトが1-0でリードしていた場面

エジプトは鋭いカウンターからモスタファ・ジーコがネットを揺らし、一度は2-0になったかと思われました。

しかしVARが介入し、主審はオンフィールドレビューを実施。

その結果、ゴール直前ではなく、攻撃の起点となった自陣付近でマルワン・アティアがアルゼンチンDFリサンドロ・マルティネスに対してファウルを犯したと判断されました。

この判定により、ゴールは取り消しとなっています。

映像を見ると、ユニフォームを引っ張る動きや足が接触する場面が確認できます。

そのため、「ファウルそのものは成立する」という見方は少なくありません。

一方で、接触は非常に軽く見えることから、「あの程度で得点まで取り消す必要があったのか」という声も多く上がりました。

つまり今回の判定で最大の論点は、ファウルの有無ではなく、「VARが介入するほど明確なプレーだったのか」という点なんです。

 

VARで得点が取り消された理由とルール

ここで大事になるのが、VARの判定の仕組みです。

VARは、ゴールが決まった際、その直前だけではなく、攻撃が始まった一連の流れ(アタッキングフェーズ)まで遡って確認できます。

もしその過程で次のようなプレーが確認されれば、ゴールは取り消されます。

 

  • ファウル
  • オフサイド
  • ハンド

 

今回も、エジプトがボールを奪ってカウンターを開始した場面でファウルがあったと判断されたため、得点は認められませんでした。

「ゴールした場所とは全く違う位置なのに取り消されるの?」と驚いた人も多かったのではないでしょうか。

ですが、VARでは攻撃が途切れずに続いてゴールにつながった場合、その起点まで遡って判定できるというルールがあります。

そのため、今回の取り消し自体は、手続きとしては競技規則に沿ったものと考えられます。

ただし、VARが介入できるのは本来、「明確で明白な誤り(Clear and Obvious Error)」があった場合です。

今回の接触は非常に微妙だったため、「本当にその基準を満たしていたのか」という点が、今も議論を呼んでいるわけですね。

 

ワールドカップが八百長と言われる理由

ここで広がったのが、「八百長ではないか」という声です。

その背景には、ゴール取り消しだけでなく、試合全体を通してエジプト側に不利な判定が続いたと感じた人が多かったことがあります。

特に話題となったのは、次のような場面です。

 

  • VARで2点目が取り消されたこと(1-0時のゴール)
  • 終盤にエジプト側がPKを主張した場面でVARレビューが行われなかったこと
  • イエローカードの基準に不公平感があったこと

 

さらに、エジプトのホッサム・ハッサン監督は試合後、「公平さがなかった」「メッシのための大会になっている」といった趣旨の厳しいコメントを残しました。

選手からも「腐敗している」といった強い発言が飛び出したことで、「八百長」という言葉が一気に広まった面があります。

ただし、現時点で試合が組織的に操作されたことを示す証拠は確認されていません。

判定への不満と八百長疑惑は、分けて考える必要がありますね。

 

今回の判定に疑問の声

最後に整理しておきたいのは、今回の議論がここまで大きくなった理由です。

今回の判定が話題になったのは、「ルール上は成立する判定」と「見ていて納得できる判定」が必ずしも一致しなかったからでしょう。

サッカーは接触プレーが多い競技です。

そのため、同じような接触でもファウルになる試合と流される試合があり、一貫性の難しさは以前から指摘されてきました。

VARの導入によって明らかな誤審は減りましたが、その一方で、「どこまで遡るのか」「どの程度の接触なら介入するのか」という新たな議論も生まれています。

今回も、ルールだけを見れば取り消しは可能な判定でした。

しかし、接触の軽さや攻撃開始地点まで遡ったことから、「そこまでして取り消す必要があったのか」と感じた人が多かったのも事実なんです。

だからこそ、「誤審」と断定することも、「判定は完璧だった」と言い切ることも簡単ではありません。

今回の一件は、VARが競技の公平性を高める一方で、観戦する人の納得感とのバランスという課題を改めて浮き彫りにした試合だったと言えるのではないでしょうか。